パーフェクト・フィグ
#5."見ててやるから"



雅俊の問いかけは、
まるで独り言のようだった。

すみれは改めて雅俊の方を向いた。

数時間前まで下から見上げていた
感情のないクールな顔が、
今は同じ高さにある。

人の話を聞きたいのか、
かと思えば、なんだかぎこちない。


言いたくないなら、
言わなくていい。


そういう顔だ。

なんとなくそう感じた。


この人に話したところで、
何かが変わるわけじゃない。

でも、なぜだろう。

もう、疲れたのかな…


すみれは深く息を吐いてから、
宙を見上げて話し始めた。


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