『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

31 お子たちを助けますわ!

「キャロラインは!?」

 緊急の知らせを受けて、仕事をなげうって王都に到着したハロルドは、開口一番妻の所在を尋ねた。
 護衛は渋い顔で首を振って、

「それが……ドラゴンと一緒に、いつの間にかどこかへ行ってしまいまして……」

「やはりか……」

 ハロルドは右手を額にあてて、嘆くように天を仰いぐ。ここで単独行動を起こしたら、余計にややこしくなるだけなのに。

 だが、妻の気持ちも痛いほどよく分かる。
 今の自分も、怒りと悲しみで胸が張り裂けそうだったのだ。

「とにかく、現段階で判明している情報を渡せ」

 ドクドクと脈が強く打っている。子供たちのことを考えると、頭がどうにかなりそうだった。


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