『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

10 お茶会へ行きますわ!③

 子供たちの視線がキャロラインに集まった。 
 彼女は軽く息を吐いてから、

「じゃんっ!」

 フリルで飾られた白い日傘を、ポンと勢いよく開いた。

「レディース、エーン、ジェントルメーーン! これより皆様に、楽しいショーをご覧いただきますわぁっ!」

 次に、両手で傘をくるくると回し始める。

「本日は、わたくしのワンマンショーにようこそですわ!」

 それから、

 ――ポーン!

 大人の拳サイズのボールを回転する日傘の上に軽やかに投げた。

「あらよっ、と!」

 それから傘の柄を速いスピードで回させて、

 ――ころころころころっ!

 ボールを傘布の上部で転がしはじめる。まるで生き物みたいにくるくると日傘の上を動き回っていた。

「わあぁぁぁっ!」

「すごーいっ!」

「かっけぇぇ!」

 子供たちの大きな歓声。それは、これまでに見たことのない見事な技だった。
 彼らはキラキラと輝く瞳でボールの動きを追って、「落ちるかな?」「やっぱり落ちてない!」とハラハラと、でも楽しそうに見つめている。

 それは双子も同じで、継母の繰り広げる軽業に夢中で眺めていた。

「さぁさ、お立会い! ぐんぐんスピードを上げていきますわよぉ〜! お楽しみはこれからですわぁ〜!」

 と、キャロラインが勢い付いた折も折、

「お前ーーっ! なにやってるんだーーっ!!」

 突如、背後からハロルド・ハーバート公爵の怒号が飛んできた。
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