私は今日も、そらを見上げる。
美しい雲
「んー...」

眠い目をこすりながら、伸びをする。今日はなぜか、いつもよりも早く起きれた。

今日から蒼空と放課後話すことになったから、気分も上がる。

「眩し...」

シャッとカーテンを開けると、ふと空と目が合った。

爽やかに青く染まる空。オレンジっぽさが残っている朝焼け。

どこまでも続く、果てしない空。

あぁ、素敵だな。現実の厳しさを反転するように、空はずっと澄んでいた。

ベランダの鍵を開ける。涼しい風が髪を揺らし、私は大きく空気を吸った。

世界は、私が思っているよりも美しいのかもしれない。汚れたところばかりに目を向けているだけで、実はもっと幸せが溢れていたりして。

カーテンを開ければ、いつでも煌びやかな空が見られた。それなのにどうして私は、今まで気づかなかったのだろうか。

蒼空と出逢わなければ、この景色が綺麗だと思えなかった。

ベッドの上に置いてあるスマホを取り、カメラを起動する。そして、カシャ、とシャッターを切った。

スマホだと実際の空とは違う感じになるけど、写真は見たものを形に残せておけるから。

そういえば、蒼空に話しかけたあの日の、虹の雲。私も見てみたかったな。あのときは空になんか興味もなかったし、話しかけることで頭がいっぱいだった。だけど、今思えば、あのとき見ておかなかったのは失敗だったと強く思う。

またいつか、見れる日が訪れたらいいけど。
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