花言葉はピュア ー敏腕社長は百合のような彼女を守り抜くー
番外編その1 葉山斎の夢
近所の神社で行われている夏祭りに葉山と環は出掛けることにした。
仕事の都合で遅くなる葉山は、神社の赤い鳥居の前で環と待ち合わせしていた。
仕事が終わり、息を切らしながら走って待ち合わせ場所へ急いだ葉山だったが、鳥居の右端で待つ環の姿に息を呑んだ。
黒地に鮮やかな桃色の百合と桜の花の模様があしらわれ、淡い青の帯でアクセントをつけた、環にしては艶っぽい浴衣姿に、葉山は思わず見惚れた。
赤い鼻緒の草履を履いた素足も妙に色っぽい。
環が葉山の姿を見つけ、微笑みながら手を振っている。
環に駆け寄った葉山は、すかさず言った。
「環さん、俺と結婚してください。」
環は一瞬ぽかんとしたあと、クスクスと笑った。