御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹 葉子と仁の物語

彼女

仁と一緒に下町の実家と九条家へ謝罪と入籍の許しを得に伺う。私が彼と向き合わず逃げてしまい、両家に心配と迷惑をかけてしまった。そして、結婚前に妊娠してしまったことも。


花村の実家はともかく、由緒ある九条家で叱責され仁との結婚を認めてもらえなくても、文句は言えない。私はそれだけのことをしてしまったから。




覚悟はしていたが、実際に再び九条家に足を踏み入れると、嫌な緊張感が増す。仁に心配するなと言われても、やはり怖い。


こんな時は良くない妄想をしてしまうのが人間なのか？


結婚を認めない、恥知らず、やはり養女だから、赤ん坊たちは渡さない……。


ああ、どうしよう。赤ちゃんたちが取り上げられちゃったら。


不安なまま玄関へ入ると、咲子おばさまが駆け寄り、抱きしめてくれる。どうやら私の心配は杞憂に過ぎなかった。改めておじいちゃまとご両親に謝罪をし、結婚の許しをいただいた。


さて、仁のご両親をどう呼ぶかで、ちょっと一悶着があった。おじさまは娘から『パパ』と呼ばれるのが夢だったらしいが、仁が即座に却下した。


確かに仁は20歳を過ぎた大人が『パパ、ママ』と公衆の面前で呼ぶ人を快く思っていないし、私もそう呼ぶのに違和感がある。花村家では『父さま、母さま』と呼ぶので、そう呼ばせていただくことになった。パパとは呼ばれないが、おじさまを初めて『父さま』と呼ばせてもらった時、破顔一笑の表情を見せてくれた。咲子おばさまは私の母さまに。


こんな私を家族の一員として受け入れてくれる九条家の皆さんには頭が上がらない。


その後の話題は双子に移り、里帰りをしない私を気遣ってくれ、よければと離れに住むことを提案してくれた。実家の母さまはクリニックがあり仕事をしているため、この提案はありがたい。出産後に病院からこちらで住むことにする。まだ動けるうちに離れの私たちの家に必要なもの、特に赤ちゃんたちのものを揃えた。これでいつ産まれても大丈夫。