御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
過去

自慢じゃないが、生まれてからこの方、女性には不自由していない。その理由もわかってはいる。みんな俺自身ではなく、『九条』という名前に釣られるんだと。


旧華族の九条家に生まれた俺。一人っ子だが、家族からは一度も跡取りとしてのプレッシャーを受けなかった。家業である株式会社九条ホテル不動産を継げとも言われたこともない。


いつもやりたいことをさせてくれ、その後押しもしてくれた。きっと、じいさんがリベラル派だったのが関係しているだろう。


兄弟がいなくて寂しい思いもしなかった。同じ旧華族リベラル派の親友たちと兄弟のように育ったから。元々、父親同士が、祖父同士が親友だったのもある。


西園寺京、西園寺雅、烏丸悠士、烏丸大和、伊集院涼介、近衛彰人、そして俺の七人はいつも一緒だった。京兄と悠士兄は三つ上で、残りの俺たち五人は同い年。彰人には6歳上の姉、翔子ねえと雅には双子の姉の葵がいる。幼稚舎から大学まで、俺たちは一緒に慶智学院に通った。




小学部の頃から親に連れられ、パーティーに参加させられ、旧華族という肩書きによって近寄ってくる人々の『目的』を知ることになる。


他の子供たちは親に、俺たちの誰でもいいから仲良くなるようにと言われていた。これが中等部になると、女の子たちからのアプローチが加わり、それと同時に彼女たちのおぞましい姿も見ることになった。彼女たちはとにかく俺たちと関係を持とうと必死で、そのためには他人を傷つけることも平気だ。そのいい例が中等部の時、雅に起きた彼女の裏切りと家族同様の葵への嫌がらせ。


その女の子は雅の後ろにある『西園寺』という名前が欲しく、あいつと付き合いだした。たまたま大和が彼女の裏の顔を暴き、あいつは速攻で別れた。

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