~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
29(帝国を救うスイーツ)
大騒ぎとなった、チョコレートのお披露目会から約二週間後。
大陸の東西に別れ、現在貨幣の鋳造権を握るコルクルヌ共和国とビッカート共和国の二国には、同時にカレンベール帝国の大使が訪れていた。その中のひとりに、在カレンベール帝国・レビエラ王国大使館に所属する大使、カーライル・ヴォルドの姿もあった。
(今頃、ジェミーたちはもう一方の国を訪れている頃か。くそっ)
それに同行しているはずのルゼを忌々しく思いつつ、カーライルは不満を飲み下す。自らも大使としてレビエラ王国から帝国に赴任している立場だ。ジェミーに協力している間、業務を他の外交官に任せきりになっていたツケが回り、人選に無理を利かすこともできず、しばらくは溜まっている仕事をこなすだけの毎日になりそうだ。
今回の訪問の目的は、言わずと知れた共和国と帝国の仲立ち。目指すは、早急に停止された帝国側への共通貨の発行を再開してもらうこと。
そのための秘密兵器は馬車にふんだんに積み込まれている。
(だが、本当にこんなもので、交渉がうまくいくのか?)
胸に燻る疑問は消えないが、カーライルもジェミーと共にチョコレートを開発したという立場からも、手を尽くさないわけにはいかない。
大陸の東西に別れ、現在貨幣の鋳造権を握るコルクルヌ共和国とビッカート共和国の二国には、同時にカレンベール帝国の大使が訪れていた。その中のひとりに、在カレンベール帝国・レビエラ王国大使館に所属する大使、カーライル・ヴォルドの姿もあった。
(今頃、ジェミーたちはもう一方の国を訪れている頃か。くそっ)
それに同行しているはずのルゼを忌々しく思いつつ、カーライルは不満を飲み下す。自らも大使としてレビエラ王国から帝国に赴任している立場だ。ジェミーに協力している間、業務を他の外交官に任せきりになっていたツケが回り、人選に無理を利かすこともできず、しばらくは溜まっている仕事をこなすだけの毎日になりそうだ。
今回の訪問の目的は、言わずと知れた共和国と帝国の仲立ち。目指すは、早急に停止された帝国側への共通貨の発行を再開してもらうこと。
そのための秘密兵器は馬車にふんだんに積み込まれている。
(だが、本当にこんなもので、交渉がうまくいくのか?)
胸に燻る疑問は消えないが、カーライルもジェミーと共にチョコレートを開発したという立場からも、手を尽くさないわけにはいかない。