元彼パイロットの一途な忠愛
6.過去を乗り越えて
大翔と想いを通じ合わせた三日後。美咲が羽田空港店でのシフトに入るのも、今日で最後となった。
副店長の怪我はすっかり治ったらしく、明日から復帰予定だ。トレーニーとして働いていた葛西も仕事を覚えてひとり立ちしたのもあり、この様子ならば安心して店を任せられる。
「ねぇ、なにかいいことあった?」
ランチのピークタイム過ぎ。バイトスタッフの休憩を回し終えたところで理香が尋ねてきた。美咲は目敏い友人の指摘にドキッとして肩を竦める。
「え? どうして?」
「なんだろう、雰囲気? 肌艶? すごくいきいきして見える」
「はっ、肌艶?」
理香には大翔について話を聞いてもらっていたため、近々ゆっくり食事をしながら報告できればと思っていた。
けれど、少し遅かったらしい。素直に動揺してしまった美咲の反応にピンときたようで、理香は口の端を上げてにんまりと微笑んだ。
「なるほど?」
「まだなにも言ってないよ」
「その反応が答えでしょ。うまくいったんだ?」
「う……はい」