燃ゆる熱愛〜再会したエリート消防士に双子ごと守られています〜
六、橙吾side
桃花と会えなくなってからも、月に一度の頻度でポワッタビジューに足を運んでいた。彼女の幸せを願って別れたとはいえ、結婚まで考えていた、愛する存在を簡単に忘れることなんてできなかった。
着信拒否にされ、メッセージアプリはブロックされ、住んでいたマンションは引っ越してしまった。繋がりを一方的に絶たれたなかで、唯一そこだけが桃花と俺を結びつけるものだったので、未練がましくケーキを買っていた。
もう一度会ってやり直せないだろうかという想いは月日の経過と共に変化し、季節が二度巡る頃には、桃花との思い出を懐かしむ材料のひとつになっていた。
桃の花が咲く時期となり、元気に笑って過ごしていたらいいなと思いを馳せながらポワッタビジューへ行ったあの日、開いた自動ドアから桃花が現れたのだ。
何度も再会を繰り返しているのは縁があるとしか思えない。別にロマンティストではないが、運命という言葉が脳裏をかすめる。
あれから二週間が経過し、桃花と子どもたちに会える日がようやくやってきた。
かつては桃花の意思を尊重したが、もう我慢しない。俺が三人を守りたいという気持ちを前面に出していくと決めた。