燃ゆる熱愛〜再会したエリート消防士に双子ごと守られています〜

八、


 あの日寝起きの私の指を触っていたのは、三年前に購入した指輪が今もはまるかどうか確認するためだったそうだ。

『新しいデザインじゃなくて悪い。三年前にプロポーズしようとしていたのを、知っていてほしかった』

 ばつが悪そうに本音を吐露した姿を、何度も思い出してはにやけている。

 決心をしてくれていたのに一方的に別れて、私は本当にひどい人間だ。

 取り返しのつかないことをした過去は変えられない。だから、これから私の人生をかけて橙吾さんを大切にする。

 無事に引っ越しを終えて、双子は新しい保育園に通い始め、本店でパティシエの仕事を再開した。

 そして環境ががらりと変わったなかでこれまでと一番違うところは、婚姻届を提出して四人家族になったことだ。もちろんムウとグリちゃんも一緒。

 住所変更や入園の手続きが二度手間にならないよう、先に済ませようという橙吾さんからの提案に甘えた。
< 214 / 244 >

この作品をシェア

pagetop