燃ゆる熱愛〜再会したエリート消防士に双子ごと守られています〜

三、



 橙吾さんと交際を始めた十月末の時点で今月のシフトはすでに出ており、互いの予定を擦り合わせられなかった。しかしながら運よく三週目に私が火曜と水曜の休みがあり、橙吾さんも非番明けで二日間の公休日が重なった。

 ということで、橙吾さんに温泉旅行に誘われて、今日初めてまるっと一日デートする 。

 週に一回は仕事終わりなどに食事に行っていたとはいえ短時間だし、まだ二回しか会っていないし、手を繋ぐこと以外なにもしていない。

 お泊りなのだから、そういう心づもりでいていいよね。大人なのだし、逆になにもなかったら女性としての自信をなくしてしまいそうだ。

「ムウちゃん行ってくるね。お留守番させてごめんね」

 それぞれ愛猫がいるので帰宅は早めの昼過ぎを予定している。猫は人ではなく家に住み着くと言われているくらい環境の変化からストレスを溜めやすい。だから一週間など長期で離れる以外はペットホテルを利用しない。そもそもムウと暮らし始めて二日以上家を空けたことはないのだけれど。

 一泊二日分の荷物を詰めた小ぶりのスーツケースを持ち、マンションのエントランスを出て外で橙吾さんの迎えを待つ。
< 58 / 244 >

この作品をシェア

pagetop