離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~

3. 何が偽りで、何が真か

 仕事から帰って来た美鈴は玄関のドアを開けてすぐに小さく声を漏らす。

「えっ……」

 家を出るときに消したはずの明かりがついている。

 消したつもりで消せていなかったのだろうか。一瞬そう考えるも、リビングからも光が漏れていることに気づき、消し忘れではないと確信する。

 美鈴が家を出たのは明るい時間帯。光が届かない玄関の明かりはともかく、リビングの明かりがついているはずはない。つまりは美鈴以外の人がつけたということだ。

 自分の家であるはずなのに恐る恐るリビングのドアを開き、中の様子を確認する。すると、やはりというべきか、そこには千博の姿があった。
< 78 / 216 >

この作品をシェア

pagetop