クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
三、嫉妬とか
瑛輔と結婚してから数週間はあっという間に過ぎ、過ごしやすい気温の日が次第に増えてきた。
新生活にもだいぶ慣れたと思う。
瑛輔の提案で、家事炊事は共同生活者として分担して行っている。
女が家事をするものとかそんな概念は一切ないらしく、瑛輔は精力的にこの家の運営に参加している。
寝室の件も、今のところ特に問題はない。というのも、瑛輔はあまり家にいないのだ。
ほぼ寝に帰っているようなもので、平日は私が起きる前に出勤して、私が寝てから帰宅する。
二人の時は一緒に料理をするけれど、一人の時は自分の食事だけ考えればいいと言われている。でも下手をすれば三日は顔も見ない生活にさすがに心配が募り、たまに彼の分の夕食も用意する。そんな生活だ。
毎日それをするのは私たちの関係にそぐわない気がして避けている。本当はちゃんと食事を摂ってほしいけれど、妻の役割を求められていない以上余計なことはしないのがいいだろう。
そう、その『妻の役割』というのが、なんとも曖昧でいまいちボーダーラインが分からない。
どこまでは良くて、どこからがダメなのか。
瑛輔は安全の面で私を最優先に考えるけれど、それ以外では対等でいようとする。
そのスタンスには私も賛成なんだけど、どう考えても私より瑛輔の方が忙しいんだから、少しくらい世話を焼かせてくれてもいいのでは、と思ってしまうのだ。
今はその鬱陶しく思われないラインを見極めるため、夕食や朝食を作る頻度を研究中である。