クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
四、俺のトップシークレット


妻が家を出ていった。目に涙を溜めながら荷物をまとめる妻の背に、俺は何も出来なかった。

『――どうして私と結婚したの?』

妻の震えた声が何度も頭の中でこだまする。

どうして――見合いを断らず、凜と結婚した理由を包み隠さず話していれば彼女にあんな顔をさせずに済んだだろうか。
……いや、別な意味で、凜を縛り付けてしまうと思ったから今まで言えなかったのだ。

妻になってくれた凜に拒絶されるのが怖くて見せられなかった、俺の積年の思いを。






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