貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
4 螺旋はほどかれ、結ばれる
 ららかは得意げに歩き、会場に入る。
 華やかなさざめきに、これこそが自分に相応しい場所だと思う。

 迅を見つけると、目が合った。にっこりと笑みを向けると、迅が驚きを浮かべる。
 そうでしょう、とららかは思う。私のあまりの美しさに驚いたのよね。

 迅の隣にいる男も違う種類のイケメンだった。迅と知り合いなのだろう、だったらあの男も落として私の虜にしなくちゃ。でもまずは本命のほうから。

 笑顔のまま歩みよると迅を見あげた。
 龍耶よりも背が高くて見栄えがする。龍耶なんて少しでも背を高く見せようと髪を立てているが、ららかがハイヒールを履くとそれほど身長差がなくて物足りない。

「婚約者さんがお帰りだね。あ、メイクと髪型変えた?」
 隣のイケメンが言い、ららかはにっこりと笑みを見せた。それからまた迅を見る。

「お待たせ。髪が崩れちゃって直してたら遅くなっちゃったわ」
「なにしに来た」
 きつく問われて、ららかは首を傾げて見せる。

「どうしたの?」
「百合花さんをどうした!」
 怒鳴られて、ららかは驚愕した。

 まさか、見分けたというのだろうか。母ですら見分けがつかないときがあるのに。百合花のスマホの顔認証だってクリアできるのに。
 異変に気づいた周囲がざわざわとふたりと見る。
< 110 / 136 >

この作品をシェア

pagetop