DEAR 2nd 〜Life〜
第28章 自分を捨てて
第28章 自分を捨てて
第28章 自分を捨てて
────…朝。
ほとんど睡眠を取らない状態で、あたしは学校へと歩き始めた。
……もともと夜は強かったけど。
この頃から、更に拍車を掛けるように夜通し起き続ける事に強くなっていった。
裏を返せば“眠れない”って事なんだろうけど。
───…いつも憂鬱で重苦しい学校までの足取りも、今日は少しだけ軽い。
成績発表は嫌だけど、それも数時間で終わる。
あとは後期の教材受け取って、いよいよ夏休み開始だもん。
─────…カタン……
一番後ろの端の席。
─────…ザワザワ…
みんなが楽しそうに笑ってる席から、かなり距離を開けて一人で座る事にも慣れた。
教室で息を潜める事にも慣れた。
「どこにいても邪魔だっつーの。」
「目障り~。」
……こんな事言われるのに耐えるのは、まだ難しいけど……。
おもむろに本取り出して眺めたり、窓の景色見つめたり……
そうやって、ウワサを囁かれてるのに知らないフリするのに精一杯だった。
「───じゃあ成績表配りますね。順番に取りに来て下さい。」
先生が次々に成績表を配り始め
「──…桜井さん。」
「はい。」
───受け取った成績表に記されていたのは
「……わ……」
────見事、どの教科も高得点をマーク。
よ……よかったぁ……。
ホッと息を吐き、初めて微笑みが零れた。
バイト忙しい中、頑張って勉強した甲斐あったなぁ……。
もしこれで欠点を取っていれば、補習に追試が待っていた。
おまけに、追試は一教科受けるのに3000円かかる。
何教科も赤点取れば、それだけ追試と費用がかさむから、必死になって勉強しただけなんだけど。
一発合格してしまえば後が楽だし、自分の為にもなるし。
それに何より、追試でクラスメイトと一緒の空間を過ごすのが一番嫌だった。
教科書ビリビリにされたって、図書館にある同じ教科書コピーして必死に暗記した。
“教科書破かれたから”って理由で屈するのが嫌だった。
教科書なくても大丈夫って見返してやりたかった。
───…貴重な夏休みを自分から潰すような真似はしたくなかった。