俺様同期の執着愛

11、自分の気持ちに気づいた日

 子どもの頃は、手をつないだ人と恋人になるんだと思った。
 そしてキスをした人と結婚するんだと思った。
 結婚したら、もっと先に進むんだと思った。

 だけど大人になって現実を知った。

 好きでもない人と手をつなぐこともできるし、なんなら夫婦にならないとしないことだってできる。
 体だけつながって気持ちよくなることを、恋人でも夫婦でもない他人同士でもできるんだって。

 私は彼のおかげで嫌いだった行為が悪くないなって思えるようになった。むしろ好きだなって思うし、もっとしたいと思う。

 恋人でもないのにおかしいのかなって何度も思ったけど、それが大人だから。大人の世界にはそういうこともある。

 子どもの頃の自分には到底理解できないことだろうけど。

 最近はそんなふうに自分に言い聞かせている。
 ときには考えることをやめる。
 今の柚葵との関係が最高にいいから、これを壊すようなことはしたくなかった。

 柚葵が私の体を気に入っているならそれでいい。
 だから、それ以上を望んではいけない。

 それなのに私は、最近おかしい。
 
 もっと柚葵のことが知りたいし、彼に深く関わりたいと思っている。
 それに、少しばかり嫉妬心まで生まれている。

 柚葵が他の女子たちに人気だから、立場も考えずもやもやしてしまって。
 そんな自分にもちょっと呆れている。

 私が彼を独占することなんてできないのに――。

< 102 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop