俺様同期の執着愛

9、まるで新婚夫婦

 10月某日。
 秋はいつ来るのかと疑問に思うほど残暑が続く週末だ。
 約束通り私は車を出して柚葵を拾って、郊外にあるアウトレットモールへ出かけた。

「なんか、運転させて悪いな」
「なんで? そんなことないよ。私から誘ったんだし」
「いや、フツーこういうデートのときって男が運転するもんだろ」
「あはは、何それ。今は令和だよー。男とか女とか関係ないよー」

 って今デートって言った!?
 デート、まあ他人から見たらそうだよね。
 私たちがただの割り切った関係だなんて他の人は思わないだろうしね。

「やっぱ俺も車買おっかな」
「駐車場代かかるよ」
「結婚して家でも建てるか」
「そうだねー。それがいいかも」

 え? 結婚!?
 いやいや、相手がいないでしょ。
 でも、自由をこよなく愛する柚葵の口から結婚ワードが出てくるなんて、実はちょっと意識してるとか?
 私たちもう26だし、大学の友だちにも結婚した子がいるし。
 私だって恭一さんと付き合ってたついこの前まで彼と結婚するのかなってちょっと想像してたし。

「柚葵は大学の友だちで結婚した人いる?」
「ああ、いるよ。まだ未婚率のほうが高いけど」
「私も、ひとりくらいかな。みんなで30までにはしたいなって話してるけどね」

 なんで柚葵と結婚の話をしてるんだろ……。

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