モデルなんてできません

別れ

京介くんのアメリカ行きが決まって1週間
私は自分がどうしたいのか?を毎日考えた
今日は会社に返事をする日
決意したように私は社長室のドアをノックした

「失礼します」

「あー入って」
社長はいつもの気のいい様子で私を出迎えた

「それで、社員の話なんだけど考えてくれたかな?」

「はい。今日はこれを渡したいと思ってきました」
私は一枚の封筒を差し出した

封筒の中身は退職願だった

「瀬戸くん。これはどういうことかな?社員の話なら断ってもいい。でも辞めることはないじゃないか?」
社長は驚いた様子で私が出した退職願を見つめながら言った

「前々から考えていました。ここの会社は小説家になりたいという夢があっても掛け持ちできるとても良心的な会社でした。3年間も雇っていただいて本当に感謝しています。この会社がなければ私は食べていけませんでした。でも、それではいけないことに気付きました。これからは片手間ではなく、小説一本に専念して本気で頑張ってみようと思います」
私が出した結論は夢を諦めない事だった

「そうか、、でも中本くんが残念がるな。うちとしても君が辞めてしまったら残念だよ」
‘でもそういう理由なら仕方ないのかな‘
社長は残念そうだが、わかってくれたようだ

「すみません。本当に今まで有難うございました。今月いっぱいは働かせていただくつもりでいます。残りの2週間、今まで通り宜しくお願いします」
そう言って私は社長室を後にした


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