妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

伝えておくべきこと(アドルグside)

 クラリアを除くヴェルード公爵家の兄弟達は、一つの部屋に集まっていた。
 妹や弟からの視線を受けながら、アドルグは考える。兄弟達に、一体どこまで事情を話すべきなのかを。

「……アドルグお兄様は、事情を知っているようですね」
「む……」
「良ければ、教えていただけませんか? 正直、私達としてはよくわからないのです。もちろん喜ばしいことではありますけれど、クラリアのお母様が両親と一緒に帰って来たということが、私にはわからないのです」

 そんな風にアドルグが悩んでいると、イフェネアから問いかけられた。
 自分を除くと長姉であるイフェネアが、今は兄弟達のまとめ役であることをアドルグは悟る。妹達の意思は一つだ。事情を自分から聞き出そうとしている。それを理解したアドルグは、ゆっくりとため息をついた。
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