妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

秘密に触れて(アドルグside)

「ドルイトン侯爵、少し尋ねたいことがあります」
「……なんでしょうか?」
「庭師のダルークのことです」
「……奴がどうかしましたか?」

 アドルグは、唐突にドルイトン侯爵に質問を投げかけた。
 それに侯爵は、少し過剰な反応をした。焦ったような表情を、彼はしているのだ。
 そのことでアドルグは、妹の予測が的を射ているという確信をさらに強めることになった。ドルイトン侯爵の反応は、それ程に露骨なものだったのだ。

「件の事件の際、妹が彼に助けられたと聞いています。その時に違和感を覚えたようです」
「違和感……」
「単刀直入に申し上げます。庭師のダルークは、あなたの息子ですね」
「……」

 アドルグの言葉に対して、ディトナスは父親のことを睨みつけた。
 その視線を受けながらも、ドルイトン侯爵はゆっくりと頷く。やはりクラリアの予測が間違っていなかったと、アドルグは少しだけ誇らしさを覚えていた。妹の人を見る目が確かであることは、彼にとっても嬉しいことだったのだ。
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