妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
第三章

再びの婚約

「婚約? 父上、またですか?」
「うむ……」

 私の婚約に関する一連の事件が収束してロヴェリオ殿下が帰ってから数日後、私達ヴェルード公爵家の面々は、お父様の執務室に集まっていた。
 大事な話がある。そう言って呼び出された私達に、お父様は婚約の話であるということを切り出してきた。
 それによって、私は背筋を伸ばすことになった。ディトナス様の件があったからか、皆警戒しているようだ。

「といっても、今回はクラリアへの婚約の提案という訳ではない。エフェリアへの提案だ」
「え? 私ですか?」
「ああ、レフティス・ラベーシン伯爵令息を知っているか?」
「レフティス……あ、ああ!」

 お父様に話を振られたエフェリアお姉様は、手を叩いて目を丸くしていた。
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