妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

出自の真実(アドルグside)

「実の所、アドルグからは前々から相談を受けていたのだ」

 ヴェルード公爵夫妻は、国王の前に立っていた。
 それを見ながら、アドルグは考える。自分の両親が今、何を思っているのかを。

 クラリアという隠し子の存在、それはヴェルード公爵家にとって少なからずスキャンダルになることであった。
 それに関してクラリアに罪がある訳ではないと、アドルグは認識している。問題なのはヴェルード公爵イルリオの素行だ。妻がいる身でありながら、他の女性と関係を持ったその不貞行為に対して、アドルグは少なからず嫌悪感を覚えている。

 ただわからないことは、父と母の仲が良好であったにも関わらず、そのようなことが起こったという事実であった。
 単なる出来心ということもあるが、両親に対して尊敬の念を抱いていたアドルグにとって、状況は不可解なものである。
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