上司と始める秘密の子作り契約？！～あなたのことを好きになってもいいですか～

episode1／不破視点

「本気です、私は……樹さんが、本当にいいなら……抱いてください。私の中に……」

　快感に包まれた表情でそんなセリフを吐く。これをもし、自分以外の誰かに囁いていたと思うとゾッとした。そして素直に俺を導こうとするその姿は興奮を超えてむしろ疑いたくなるほどだった。

　（やべぇな、これ。いきなりここから始まるのか）

「俺も本気だよ……お前の中に出したい、だから……」

　覚悟がなかったのは俺か？
　そんなことはない。俺はずっと、天野あかりが好きだった。毎日毎日、特別な目で見つめて心の底で自分のものにしたい気持ちを押し殺していた。

　自分のものにできる征服欲。しかも未来まで手に入る、この瞬間で俺たちの関係が一瞬で変わる、それに身震いした。

「樹さん、おねがい……」

　そんなセリフ、ここで吐くな。破壊力が半端ない。身体だけじゃない、心まで暴発するだろうが。

　あかりの指先が頬に伸びてきて潤んだ瞳で見つめてくるから、我慢の限界だった。女を何度も抱いている。けれど避妊は絶対していたし、こんな感情が震えるようなセックスはしたことがない。

　自分の欲を受け入れられる、それも無条件に、望まれて――。

　（ここにあかりの気持ちが追い付けばどんな気持ちになるのか……）

　俺を愛して求めてくれたらどうなるだろう……それを考えただけで自分がまともではいれなくなりそうだ。