true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
【false~好きな人からの恋人宣言?!】
1週間後の週明け。
片桐さんは所長室に籠もり、私達3人は、パソコンの音や書類を積み重ねる音が聞こえる室内で、黙々と仕事をしている。

呼出音が鳴り、加東さんが対応すると、
「片桐の父です」
聞こえた言葉に思わず振り向いた。
約束の話は聞いて無かったし、スケジュールにも無いけど・・・
「お待ち下さい」
加東さんは慌てて所長室を開け声を掛けると、片桐さんが部屋から出て来た。

「父さんか・・・」
本当にお父さんだったようで、ドアを開けると、片桐さんにダンディさが増した男性と、穏やかな笑顔の若い男性が立っていた。

「今日は何しに?」
「息子の新しい事務所を、見学に来ただけだ」
「つまらない冗談だね」
「まぁ、そう嫌がるな。近くに来たから寄ったんだ」
「・・・亮聖、元気そうで良かった」
「優聖も」
2人とも名前で呼んでるけど・・・
見た目だけで言うと、弟さん?でも似てないし、友達?

片桐さんのお父さんは、事務所を見渡した後、私達を見て、静かに話し出した。
「お前のこのビル、ここの事務所と上も貸したら、どうだ?もう1つのビルの賃貸収入もあるし、必死で仕事をしなくても、お金に不自由はしないだろ?うちに来て、役員として、次期社長の亮聖を支えてくれないか?」

ここの所有者なのも信じられないのに、もう1つのビルも所有している・・・
それに、役員とか次期社長とか・・・

「片桐総合建設と亮聖を支えて欲しい」
今・・・片桐総合建設って・・・
えーっ!大手ゼネコン片桐総合建設の社長の息子なの‼︎
加東さんと私が同時に、目を丸くして片桐さんを見た。
「亡くなった会長から譲り受けたものだ。俺の自由だろ?」
「まぁ、確かにそうだが・・・優秀な弟が傍にいれば、うちは安泰だ」

ということは・・・亮聖さんは、片桐さんのお兄さん・・・
「亮聖に何かあれば、相談に乗るよ」
「聞き分けのないことを言うな。十分に好きな事をさせてきただろ?」
「今からが本番ですよ。だから、父さんの意向には添えません。話はそれだけですか?」
急に敬語・・・少し、イライラしている・・・
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