true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
【フラれた人から、まさかの告白】
「お兄ちゃん、遊びに来たよ」
一人暮らしする私は、実家で小さな建設会社を営む『深澤建築株式会社』の兄に挨拶をした。

お母さんは小さい頃に亡くなり、忙しいお父さんに代わって、お兄ちゃんが私の面倒を見てくれていた。
30歳でがっしりとした体格に、愛嬌のあるお兄ちゃんは、昔からいる職人さんに可愛がられ、若手の人達からは、頼られている。
私の自慢のお兄ちゃんだ。

「お帰り。2か月経ったけど、一人暮らしはどうだ?」
「ようやく慣れて来たよ」
「それなら良かった。そうだ!高校の学年同窓会の案内ハガキが来ていたぞ」

高校の同窓会・・・きっとフラれた三多君も来るはず・・・

お兄ちゃんが差し出したハガキを受け取った。
「担任の本田先生が退職するから、謝恩会を兼ねてるようだなぁ」
「そっかぁ・・・でも、行かない」
「行って来いよ。もう会うこともないし、本田先生にはお世話になっただろ?」

本田先生は、『THE 肝っ玉母さん』と証されるほど親しみがあって、お母さんのいないことを気に掛けてくれて、大学受験まで、教室に残って勉強していた私に寄り添ってくれた。

「そうだね・・・顔だけ出してくる」
少し遅れて先生に挨拶をしたら、『忙しいから』と言い訳をして帰ろう・・・
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