true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
【嫉妬は溺愛を招く】
「おはようございます」
「聞いたわよ、今日の遅刻の原因」
ドアを開けると、珈琲を届けてくれた小巻さんが、満面の笑みで私を出迎えてくれた。
「えっと・・・」
ま、まさか優聖さん、夜の話なんて、さすがにしないよね・・・

「朝、お店に来てね。『昨夜、彼女を愛し過ぎて、ゆっくり休ませてますから、カフェラテは後でいいです』だって。若いっていいわね」
しっかり、事実を伝えている!恥ずかしい・・・

そうだ・・・
加東さんを見ると、驚いた顔をしている。
あんなこと言ってたから、嘘ついたと思われたかなぁ。
その後は何事も無かったように、パソコンに向かっている。
小巻さんは、しばらく楽しそうに冷やかした後、部屋を出て行った。

「あの、加東さん・・・」
「片桐さんのポーカーフェイスに騙された」
「えっ?」
「何でもない。男同士の話だよ。はぁ・・・相手が片桐さんじゃ・・・ごめん、気にしないで」
加東さんは、ため息をついて、パソコンに向かった。

所長室をノックし、ドアを開けて、
「出勤しました」
デスクで仕事をしている片桐さんに声を掛けると、微笑んで手招きする。

「体は大丈夫かな?」
「はい・・・アラームに気づかなくて・・・すみません」
「鳴ったけど、直ぐに消したからね。昨日言っただろ?俺の責任だからね」
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