true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
【絶対に君を離さない~優聖】
「そろそろ、心海の家も解約して、本格的に同居したいと思っているんだ。その前に、ご家族にご挨拶したいんだが・・・」
「か、確認します」
「宜しくね」

片時も傍を離れたく無い。
こんなに、一人の女性を愛する日が来るとは、思わなかった。
仕事優先・・・その俺が、こんなに心奪われる存在。
もう二度と、現れないだろう。

心海が電話を掛けようとした時、着信があった。
「あっ、お兄ちゃんからです。丁度良かった。はい、お兄ちゃん、今私も・・・・・・えっ・・・どうして?・・・・・・うん、直ぐにそっちに行くから」

蒼白な顔をして、俺の方を見ると、涙を流し始めた。
「お父さんが過労で倒れて入院したって・・・今病院から帰るところだからって切れました」
「直ぐに家に行こう」
狼狽える心海を支え、車で実家に向かった。

「お兄ちゃん・・・ただいま。お父さんは?」
「1週間様子を見ることになった。そちらの方は?」
「初めまして。大変な時に、突然で申し訳ありません。片桐総合法律事務所の代表で、心海さんとお付き合いさせていただいています、片桐と申します」
「あなたが・・・お世話になります。兄の佳孝(よしたか)です。心海には聞いています。せっかく来ていただいたのに、こんな状況で」
「いえ・・・私もご挨拶が遅れて・・・お父さんの過労は、お仕事が原因ですか?」
「まぁ・・・受注先と色々トラブルがありまして・・・」
「もし良かったら、お話を聞かせていただけますか?」
「お兄ちゃん、片桐さんなら、何か解決策が見つかるかもしれないから」
< 79 / 106 >

この作品をシェア

pagetop