true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
【true love】
退職届は送った・・・もう、優聖さんと会うことはない。
加東さん達にもお礼を言えなかった・・・
大好きな小巻さんのカフェラテとサンドイッチも食べることも無いんだ・・・

そして、何よりも・・・
優聖さんの温もりを感じることはない。
優しい笑顔さえも・・・見ることが無い。
電話は着信拒否をしている・・・声すら聞けない。
優聖さんが悪いわけじゃ無いのに・・・

時間が経てば・・・
きっと、令嬢と婚約の話も進むはず。
私がいない方が、優聖さんや片桐総合建設に取っても、メリットしかない・・・

夢だった・・・
今まで頑張って来たご褒美に、ほんのわずかな幸せを神様が与えてくれた。
これからは、お兄ちゃんを助けていかないと・・・
そう言い聞かせても・・・

最後の言葉・・・
『必ず迎えに行く』
どうしても、メッセージを消せない・・・

カーテンを少し開けて、雨が降りしきる夜空を見ると、まるで私の心を表すようだった。
締めようとして、ふと下を見ると、傘もささずに誰かが立っている。

うちの従業員さんと待ち合わせ?
でも、皆帰ったはず・・・
あんなに濡れて・・・傘を貸して・・・
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