true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
【過去と愛のための決戦】
片桐総合建設の会議室では、ミドリツキから緑都木社長と専務、向かい合ってお兄ちゃんと片桐さんが座り、まとめ役として、片桐総合建設から亮聖さん、社長のお父さんが座っていた。

「あの・・・片桐社長。どうして深澤さんがここにいるのでしょうか・・・」
「身に覚えはありませんか?」
「え、えぇ・・・もちろん」
「私の先代達は、職人の方々に支えられてこの会社は大きくなった。だから、関わる人達が幸せになるように尽力をつくすことを、言い伝えていてね」
「それは素晴らしいことですね!さすが、日本を代表する企業だけありますよ」
引きつる笑顔と猫なで声でお世辞をいう社長に、悪寒が走る。

「我々の仕事をする以上、不当に金をせしめるような行為は許さないですよ?」
「我々は、そんなことはしていません!」
「そうですか。今日は、弁護士で私の息子が、あなた方に話があるそうなので、お呼びしました。優聖、あとは君達に任すよ」
「はい。では、早速・・・」
一瞬でピリッとする緊張感が走り、鋭い眼光が緑都木社長を捉える。
これが・・・優聖さんの姿・・・

「仕様変更や追加工事については、深澤建築の落ち度が無い限り、御社の責任下において、金額を支払う内容で契約書の記載はありました。こちらの落ち度では無いはずですが・・・どうして、支払われてないのか、私にご説明いただけますか?」
優聖さんの、冷静に早口で追い詰めるような言い方は、背中に冷たい氷水が滴るようにヒヤッとする。

「そ、それは・・・」
「調べてみたら、あなた達が請け負った時に、変更があったことを失念して、あとから気がついて、深澤さんに説明はしていると押しつけたんでしょう?もう、全て関係者達には確認済みですよ」
優聖さんの話に追い討ちをかけるように、
「情報は私達が収集したので、間違いありません」
穏やかな亮聖さんが、いつもと違う低いトーンで話すと、固唾を呑んでいた。

この2人、組み合わさったら最強かも・・・
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