キミと桜を両手に持つ
episode04

 土曜日の朝、やたらうるさい携帯の着信音で目が覚めた。

 「ふぁ……もうこんな時間にかけてくるの誰……」

 大きなあくびをして寝返りをうつと、ベッドから手だけ出して手探りで携帯を探した。

 前日は遅くまで残業をしていて家に帰ってきたのは日付が変わってから。その後にお風呂に入ったりして寝たのは2時過ぎ。目を閉じるとまた深い眠りに落ちてしまいそうになる。

 「……ねむ……」

 このまままた寝てしまおうかと考えたものの思い直して携帯をベッドの中に引き寄せた。

 一体誰だろう……

 眠気まなこで画面を見ると詩乃さんからメッセージや電話が何件も入っている。

 今はちょうど朝の7時。設定で夜の12時から朝7時までは睡眠モードになっていて電話やメッセージが来ても着信や通知音が鳴らないようになっている。なので彼女から電話やメッセージが来ていても今まで気づかなかった。

 「どうしたんだろう……。なにか仕事でトラブルでもあったのかな」

 基本的に彼女が週末仕事のことで連絡してくるのは珍しい。何かクライアントの契約で問題があったのかな?そう思いながら携帯のロックを解除するとメッセージを読んだ。


 『ごめん、凛桜さん。さっき従兄から連絡が来ていま日本に着いたって。私も帰って来るとは全然聞いてなかったからびっくりしてるとこ。たぶんそっちには7時ごろに着くと思う。凛桜さんのことは話してあるから心配しないで。それでね、私の従兄なんだけど実は──…』


 ……えええぇっ!?

 メッセージを全て読み終える前にあわててベッドから飛び起きた。

 えっ、嘘でしょ…? 7時ってもう7時じゃん!!
 従兄が帰ってくるって、ど、どうして急に……?
 知らない人が勝手に住んでたなんて嫌だよね。ど、どうしよう…!
 
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