悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!

第二の嫌がらせ(私物廃棄編)

三日後、マリアンヌは第二の嫌がらせを決行することにした。

あれからロザリーは悲劇のヒロインのように、マリアンヌに悪口を言われて悲しいと触れ回っているらしい。
それはもう、あることないこと――ほとんどがないことばかりなのだが――言いまくってくれているおかげで、ますます自分の信用をなくしているのだとか。

それを盲目的に信じ、ロザリーを大袈裟に慰め、マリアンヌ(婚約者)をこき下ろすジャルダンにも冷たい視線が注がれるのは仕方のないことだった。

えーと、ロザリーの教科書はっと。
うわ、落書きばかりじゃないの。
あの子、全く勉強する気ないわね……まあいいわ。

一限目に使ったばかりであろう彼女の外国語の教科書を、二限目が始まる前に盗みに入る。
ロザリーのクラスは二限に体育の授業がある為、休み時間中に人気のない教室から教科書を盗み出すことなどおちゃのこさいさいだった。
それをくるくる丸めて水に弱い紐で軽く結んでおく。
マリアンヌは棒状になったロザリーの教科書を持って校舎の屋上に立つと――力任せに遠くへと放った。

< 20 / 54 >

この作品をシェア

pagetop