悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!

第二王子は悪役令嬢の味方

図らずも、第二王子レックスによるロザリーへの追及が始まった。

「さて、ロザリー嬢だっけ? 君はその教科書を義姉(あね)……いや、マリアンヌ嬢が捨てたと言っていたね?」
「そうですわ! 今日の一限の授業で使ったあとに行方不明になっていたのですが、なんと湿地帯の手前に落ちていたそうなんです! 盗んで捨てるなんてひどいわ!!」

ロザリーの言い分を聞くなり、レックスは頭痛がするかのようにこめかみを押さえ出し、周囲の人間は呆気にとられたようにあんぐりと口を開けた。

あーあ、自分からそんな細かいところまで話してしまうなんて、ロザリーってやっぱりお馬鹿よね。
普通に考えたら授業に出席しているはずの学生が、短時間にそんなところまで捨てに行けるはずがないもの。
それにしても、ロザリーってジャルダン様がいない場面だと随分はっきりと喋るのね。

「はあー、馬鹿を相手にするってしんどいな。でもこれもマリアンヌの為だから仕方ないか」
「レックス様?」
「ん? 何でもないよ、義姉上(あねうえ)。ちなみに義姉上の午前中の行動について、一応確認させてもらってもいいかな?」
「それでしたら私たちが。マリアンヌ様は全ての授業に出席されておりましたので、外に出る時間などあるはずもございません。クラス全員が証言できますわ」

友人の一人がきっぱりと言うと、他の友人も一斉に頷く。
これでマリアンヌのアリバイは証明されたはず――と思ったら。

「そんなの誰かに命じて捨てに行かせたか、高いところから投げ捨てたに決まってます!」

ロザリーが金切り声を上げて反論した。
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