悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます！

予期せぬ第三の嫌がらせ（仲間外れ編）

悪役令嬢としての活動もいよいよ佳境である。

「それでね、いよいよ最後の嫌がらせになるわけだけど」
「はい。『悪口』、『私物隠し』ときて、メインの『階段落とし』ですね」

さすがはアレン、マリアンヌの『悪役令嬢プラン』をよく理解している。

「そう、それなのよ。でもやっぱり躊躇しちゃうわ。定番の嫌がらせでいくらインパクトがあるからって、女の子を階段から突き落とすのよ？　度が過ぎているんじゃないかしら」
「そうですか？　お嬢様はお優しいですね。俺にはロザリーって女は、屋上から突き飛ばしたって不死身なくらいに図太い人間に思えますけど」
「だから言い方！　確かに困った子には違いないのだけど、怪我をさせるのは可哀想でしょう？　ここはしっかり計画を練らないと」

気合を入れ直すマリアンヌに、「全く人がいいですね」と呆れながらもアレンがテーブルに一枚の大きな紙を広げ始めた。

「これは何？」
「悪役令嬢になりきれないお嬢様の為に、俺が特別に入手した……学園の地図です」
「はあっ！？　そんな貴重な物、どこで手に入れたのよ！？」
「……秘密です」

唇に人差し指を当てて不敵に微笑む執事に、マリアンヌは脱力するしかなかった。