悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!

断罪が始まりました

連休明け、学園の講堂では全校生徒の出席のもと、朝礼が行われていた。
生徒全員が一堂に集まると、貴族子女ばかりの学校ということもあり、なかなか壮観である。

学園長の挨拶に続き、生徒会長のアルターが学校行事について報告していると、「みんな聞いてくれ!」と学生の中から大きな声が上がった。
アルターや他の生徒会メンバーと共に、講堂の壇上に立っていたマリアンヌが何事かと目を向ければ、なんと第一王子のジャルダンがロザリーの手を引いて壇上に上がってくるではないか。

え、ジャルダン様は突然何をするつもりなのかしら?
まさかこんな朝っぱらから、教職員方もいる前で例の『アレ』を始める気じゃないでしょうね?

しかし、残念なことにやはり『断罪(アレ)』が始まるらしい。
予想が当たったマリアンヌだが、ちっとも嬉しくはなかった。

壇上へと無理やり上がってきたジャルダンは、アルターを邪魔だとばかりに脇へ追いやると、学生たちに向かって叫んだ。

「皆よく聞け! この場で宣言しよう。私は真実の愛を見つけたのだ。その相手はロザリーであり、醜い嫉妬心から彼女に害をなそうとしたマリアンヌとは、婚約を破棄する!」

本人は格好良くきめたつもりなのか、右手で空を指して陶酔したように動かないが、周囲は呆れすぎて言葉も出ない。
タイミングも内容も頓珍漢なのだから、この反応は至って当然なのだが、ジャルダンは全く気付いてはいないようだ。
ロザリーだけが「ジャル様、かっこいいですぅ~」と拍手をしながら煽てているが、お世辞にもちっとも格好良くはなかった。
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