野獣皇帝と愛しき追憶の乙女 ~虐げられた紛いもの王女の政略結婚から始まる溺愛生活~
皇帝夫妻の初対面
おかしいな?
四回目の交流日となるその日。私は部屋で首をかしげていた。
いつもならそろそろオズモルトさんがやって来て、申し訳なさそうにジンガルドの欠席を報せてくる頃だ。しかし、待てど暮らせどオズモルトさんの訪問がない。
そうこうしているうちに、昼餐の十分前になった。
え、嘘でしょう? まさか、本当に食堂にジンガルドが来ちゃったりするの!?
これは一応、食堂に行った方が……いや、冷静になろう。
そもそも、初対面の挨拶や歓迎のメッセージひとつなく四カ月間も放っておいて、今さらジンガルドがひょっこり現れるわけがない。きっとオズモルトさんが欠席の連絡を忘れたのだ。
というより、宰相という地位にあって多忙な彼から、これまで毎回欠席の連絡を貰っていた状況が異常だったんじゃないだろうか。
きっと今後は、連絡なしに欠席がスタンダードになる。というか、交流日は自然消滅したと考えていいのではないか。
……うん、きっとそうね!