呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
7/愛しき妻に、愛を捧ぐ (オルジェント)
鎌の切っ先をアメリの首元に突きつけていたオルジェントは、糸が切れた人形のように愛する妻が崩れ落ちる姿を気配で悟り、慌ててイブリーヌを抱き止めに走る。
(敵に背を向けるなど、手練との交戦であれば絶対にあり得ない失態だ……)
頭の中では理解していても。
彼はどうしても、許せなかったのだ。
愛する妻が手の届く場所にいるのに。
彼女が地面へ叩きつけられる姿を、目にすることだけは。
(無事でよかった……)
どうにか怪我をする前に愛する妻を抱き止めた彼は、ほっと一息つく。
その直後、イブリーヌの目元に涙が溜まっている姿を目撃した。
(一人で、どれほど心細かったことか……)
彼女のそばにいられなかった自身の失態を悔いた彼は、それを丁寧に唇で掬い取ってから。
愛しき妻を大切そうに抱きかかえ――怒りに打ち震えるアメリを睨みつけた。
(敵に背を向けるなど、手練との交戦であれば絶対にあり得ない失態だ……)
頭の中では理解していても。
彼はどうしても、許せなかったのだ。
愛する妻が手の届く場所にいるのに。
彼女が地面へ叩きつけられる姿を、目にすることだけは。
(無事でよかった……)
どうにか怪我をする前に愛する妻を抱き止めた彼は、ほっと一息つく。
その直後、イブリーヌの目元に涙が溜まっている姿を目撃した。
(一人で、どれほど心細かったことか……)
彼女のそばにいられなかった自身の失態を悔いた彼は、それを丁寧に唇で掬い取ってから。
愛しき妻を大切そうに抱きかかえ――怒りに打ち震えるアメリを睨みつけた。