呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
4/亡霊の愛し子
「何から話せばいいのか……」
朝食を食べ終えたイブリーヌは寝室に戻ると、難しい顔でそう呟いたっきり口を噤んだオルジェントをじっと見つめた。
(伝えたいことが多すぎると、迷ってしまうのよね……)
かつての自分を脳裏に思い浮かべた彼女が、暗い顔で夫が話し始めるのを待っていれば――。
オルジェントは覚悟を決めたようにイブリーヌを抱きしめると、優しく耳元で囁き始めた。
「まずは、俺のことを話そう」
彼は自身がヘスアドス帝国の皇帝であることや死神であること以外の情報を彼女に伝えていなかったのを思い出し、イブリーヌに説明してくれる。
「ヘスアドス帝国の王族は、先祖代々悪しき魂を屠り、人々を守る使命を課せられていた……」
亡霊達は強い憎しみや悲しみに、惹かれ合う性質を持っている。
ヘスアドス帝国はその広大な土地を維持するために戦争を繰り返しており、何かと争いの絶えない地であるらしい。
「志半ばで命を散らした騎士達の怨念が、悪しき魂へと変化する。戦争が続く限り、それを未然に防げないのなら――誰かが刈り取るしかない」
朝食を食べ終えたイブリーヌは寝室に戻ると、難しい顔でそう呟いたっきり口を噤んだオルジェントをじっと見つめた。
(伝えたいことが多すぎると、迷ってしまうのよね……)
かつての自分を脳裏に思い浮かべた彼女が、暗い顔で夫が話し始めるのを待っていれば――。
オルジェントは覚悟を決めたようにイブリーヌを抱きしめると、優しく耳元で囁き始めた。
「まずは、俺のことを話そう」
彼は自身がヘスアドス帝国の皇帝であることや死神であること以外の情報を彼女に伝えていなかったのを思い出し、イブリーヌに説明してくれる。
「ヘスアドス帝国の王族は、先祖代々悪しき魂を屠り、人々を守る使命を課せられていた……」
亡霊達は強い憎しみや悲しみに、惹かれ合う性質を持っている。
ヘスアドス帝国はその広大な土地を維持するために戦争を繰り返しており、何かと争いの絶えない地であるらしい。
「志半ばで命を散らした騎士達の怨念が、悪しき魂へと変化する。戦争が続く限り、それを未然に防げないのなら――誰かが刈り取るしかない」