超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第48話 天才は仲間たちとの会話を楽しむ

シンは不機嫌だった。
今まで自分なりに頭を捻って教えていたというのに、その教え子が最近自分を頼りにしなくなったからだ。
教え子とは、当然ナミルのことである。
続きを教える日程を決めようとしても、もう大丈夫だからと、そっけなく断られるのだ。非常に面白くない。

最近ナミルはまた男探しに精を出し始めたようだ。
食堂で、立食会で、あるいは別の場所で、ナミルを見かけると必ずと言って良いほど隣に男がいる。
そして、ナミルは笑顔だ。

その笑顔がまた気に食わない。
作ったような笑顔が気持ち悪い。
一時期は見かければ声をかけていたが、今やそんな気は一切起きなかった。
ナミルを見ると、ただただ不愉快な気分になった。

そしてテラスともなかなか話せなくなった。
というのも、見かければ高確率でその横にアンセムがいるからだ。
ナミルの「気を使え」という発言に従うわけではないが、どうせゆっくりと話せないのだからと諦めるようになった。

だから、シンは生物学の授業が待ち遠しい。
それなりに気心の知れた仲間達。
そして、アンセムがいない。
最高じゃないか。
< 253 / 346 >

この作品をシェア

pagetop