大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
2:大好きなお姉さまとひきこもります
 エレノアとジェラルドの婚約は解消された。その話は人から人へと伝えられ、魔法貴族たちの間に広がっていく。さらにそこを超えて貴族ら、街の人々、国中へと広まっていった。
 また、ケアード公爵が外交大臣を辞したという話も。
 これによりケアード公爵が王家の後ろ盾を失ったと思う者と、ケアード公爵が王家を見限ったと思う者と、大きく二つに分かれた。
 しかし、当のケアード公爵はそのような噂を聞いても聞かぬ振りをしているし、公爵邸に関わる者たちもそういった話には口を閉ざす。
 だが一部の人間は知っている。
 ケアード公爵が国王に向かって啖呵を切ったことを。
『てっきり、王家側にとっては我が娘にはあれだけの価値しかないのかと、そう思いましたよ』
 その場にいた者は、ケアード公爵のその言葉に震え上がるほどだったらしい。凍てついたような表情と棘のある声。それがそのまま形になって国王に刺さったかのように、国王も青ざめた顔をしていたとか。
 国王としては「婚約解消について考え直してほしい」というケアード公爵の言葉を待っていたようだ。しかし公爵本人が『まさか、この婚約解消をなかったことにしてほしいと、私が言い出すのを待っているわけではないでしょうね』と冷たく言い放ったときは、突然の猛吹雪に襲われたかのように周囲が凍り付いたとのこと。
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