さくらが散る頃

反撃の狼煙

「どうしたの？」

　透子が心配そうに私の顔を覗き込んだ。電話を持つ手が震えていた。

「佐竹が……」
「え？」

　思った以上に私の声が出なくて小さな声になってしまったのか透子は私の口元に耳を寄せた。

「佐竹が……殺された」

「え？　誰に？」

　私は首を振る。

「詳しくはわかりません、まだニュースにもなってないはずです」
「あなたにも内通者がいるのね」

　私はうなずく。

「これってもしかして」

　そして核心に触れる。

「可能性高いと思う」

　透子もうなずいた。

　美海、あなたがやったの？

「美海が殺して逃げている」
「か、もしくは……」
「もしくは？」
「私ちょっと調べてくる、また夜に会いましょう、連絡先交換してもいいかしら？」
「あ、はい」

　私たちは連絡先を交換して別れた。

　携帯電話には「凌介の家で待ってる」という陸からのメッセージがあったので私は数日分の宿泊の支度をした。その間にテレビをつけるとやっとニュース番組は速報を伝えた。
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