さくらが散る頃

聖夜の歌

 翌日目を覚ましたのはお昼前だった。

 同じくらいのタイミングで凌介も目を覚まして時計代わりの携帯電話を見た。
 私は不安な気持ちでその凌介の視線を追った。
 凌介は小さく首を振る。
 病院からの電話はなかったんだと安堵した。

「私警察に呼ばれてるから行ってから病院行く」
「俺も一緒に行こうか?」
「大丈夫、ひとりで行ける」
「とりあえず警察までは送ってくよ」
「うん」

 そして自分の携帯電話を見ると着信が入っていたからドキッと心臓が揺れた。
 直後別に病院は私の携帯電話にかけてこないと思いほっと胸をなでおろす。

 電話の相手は透子だった。
 後でかけ直そう。

 寝起きすぐにネットニュースを調べたけどめぼしい追加情報はなかった。

 警察に着き、凌介と別れる。

 昨日の刑事のところへ向かう。

「あ、待ってましたよ、よかった来てくれて、このまま来てくれなかったらお家の方にお邪魔しないとならなくなるからどうしようかと思ってたんですよ、どうぞおかけになってください」

 まるで私が逃げるような言い方だった。

「失礼します」

 椅子に座ると刑事はすぐに本題に入った。
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