罪深く、私を奪って。

風に揺れる葉

風に揺れる葉



「あーッ二日酔いだぁ! 頭痛ーい!!」
翌朝。
会社の制服に着替え更衣室から出ると、自動販売機の並ぶ休憩室で、亜紀さんが叫んでいた。
「あ、亜紀さんおはようございます。大丈夫ですか?」
やっぱり二日酔いになちゃったんだ。
昨日、あれだけ飲んで暴れてたもんなぁ。
「あ、詩織おはようー。飲みすぎたぁ……」
自販機で買ったばかりのスポーツドリンクに直接口を付けて、流し込むように飲みながら、ガラガラの声でそうつぶやく亜紀さん。
「ごめんなさい、お酒飲みすぎですよって止めればよかったですね」
一緒にお酒を飲んでいたのに、見ていただけの自分が少し後ろめたくて思わず謝った。
「詩織ちゃんは悪くないよ。こいつ酔っぱらったら誰が止めたって飲むのやめないんだから。それより詩織ちゃん、昨日あの後亜紀に絡まれなかった? 大丈夫?」
ガラス張りの喫煙室で煙草を吸っていた永瀬さんが、私たちを見てドアから顔を出しながら言った。
「別に絡んでないって。ちょっとスカートめくって可愛い下着見ただけだもんね」
「ちょっ、亜紀さん!! 何言ってるんですか!」
大慌てで亜紀さんの口を塞ぐと、喫煙室から背の高い男の人が出て来た。
「あ、石井。おはよー。昨日はありがとね」
その姿に気づいた亜紀さんが、ちょうど目の前を通り過ぎる石井さんに笑いかける。
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