おてんば男爵令嬢は事故で眠っていた間に美貌の公爵様の妻(女避け)になっていたので土下座させたい
イェルガー視点
「はあ……。奥方に好かれたい?」
アレストが呆れたように言った。
「君達は上手くいっていると思っていたけど?」
アレストは五歳下の友人だ。貴族で珍しく恋愛結婚して今でも仲睦まじい。
イェルガーは表面上のことをあらかた話していた。
「うーん……奥方が君に情があるだけ奇跡だと思うけどね。君、本人の意思を無視して無理矢理結婚したし。それで充分じゃないか」
温和で情に厚い彼が突き放しにかかってきた。
「……そこをなんとかできないものか」
「それ以上が欲しくなったんだ。女嫌いだった君にしてはますます良い傾向だ」
うーむ、と考えている。
「頼む」
「そうだなぁ。謝罪を求めてくるなら謝れば良いし、好意を言葉で伝えたことはあるかい?好きとか、愛しているとか」
そこでイェルガーはハッとした、セイラは実際に土下座しろなんて言ったことがない。そして芝居の中でしか好意を示していなかった。
「今まで謝罪を求められた事が無いし……そういう言葉を言っても真に受けてくれない……」
「謝ったこともないの、ひどくない? というか、イェルガーみたいなのに口説かれて落ちない女性がいたんだね、驚いた」
「確かにひどいな」
「まぁ、いろいろやってみなよ」
「ああ、恩にきる」
思い返せば思い返すほど過去の自分は確かにひどかった。
セイラは金で動かされる女じゃないことは、わかっている。
しかも、今までの事でだいぶ拗れている。
最後まで落ちないのはセイラの小さな抵抗で仕返しなのかもしれない。
(覚悟しておけよ、絶対に落としてやる)
イェルガーは心の中だけで闘志を燃やした。
アレストが呆れたように言った。
「君達は上手くいっていると思っていたけど?」
アレストは五歳下の友人だ。貴族で珍しく恋愛結婚して今でも仲睦まじい。
イェルガーは表面上のことをあらかた話していた。
「うーん……奥方が君に情があるだけ奇跡だと思うけどね。君、本人の意思を無視して無理矢理結婚したし。それで充分じゃないか」
温和で情に厚い彼が突き放しにかかってきた。
「……そこをなんとかできないものか」
「それ以上が欲しくなったんだ。女嫌いだった君にしてはますます良い傾向だ」
うーむ、と考えている。
「頼む」
「そうだなぁ。謝罪を求めてくるなら謝れば良いし、好意を言葉で伝えたことはあるかい?好きとか、愛しているとか」
そこでイェルガーはハッとした、セイラは実際に土下座しろなんて言ったことがない。そして芝居の中でしか好意を示していなかった。
「今まで謝罪を求められた事が無いし……そういう言葉を言っても真に受けてくれない……」
「謝ったこともないの、ひどくない? というか、イェルガーみたいなのに口説かれて落ちない女性がいたんだね、驚いた」
「確かにひどいな」
「まぁ、いろいろやってみなよ」
「ああ、恩にきる」
思い返せば思い返すほど過去の自分は確かにひどかった。
セイラは金で動かされる女じゃないことは、わかっている。
しかも、今までの事でだいぶ拗れている。
最後まで落ちないのはセイラの小さな抵抗で仕返しなのかもしれない。
(覚悟しておけよ、絶対に落としてやる)
イェルガーは心の中だけで闘志を燃やした。