図書館の地味な女の子は…
18話 情報
次の日の昼休み、祐也は迷わず大毅を屋上に呼び出した。
誰にも聞かれたくなかった。言葉にするのが、怖かったからだ。
屋上の風は少し冷たくて、二人の間に流れる空気も、どこか重かった。
「なあ、大毅」
「ん? なんや、改まって。おまえ、珍しいな」
祐也はしばらく黙ったまま、大毅の顔を見つめた。
そして、ゆっくりと、昨日見たことを口にした。
「俺……昨日、零のあとをつけたんだ。おまえに笑われたあと……気になって」
大毅は目を丸くする。
「はぁ!? おまえ、マジでストーカーみたいなことすんなよ気持ち悪っ!」
「笑ってる場合じゃないんだよ」
祐也の声が震える。
言葉が喉で詰まって、それでも何とか絞り出すように言った。
「廃屋に入っていった。誰かと話してた。黒い服を着た男……。
それで……聞いたんだ。……おまえを、“殺す”って話してた」
一瞬で、大毅の表情が凍りついた。
「……は?何言ってんの?」
「“佐藤大毅はもういらない”って。次は週末、おまえの家にいる時を狙うって。
前に俺が邪魔したせいで失敗したって、そう言ってた……。
あいつ、ほんとに……澪、本気で――おまえを殺そうとしてる」
風が吹いた。
その音だけがしばらく二人の間に鳴っていた。
「……おまえ、それ……」
大毅が絞り出すように言った。
「マジの話か?」
「……ああ」
祐也は真剣な目で頷いた。
大毅は眉をひそめて、ぽりぽりと頭をかいた。
「……ほんまに、信じられへんありえへんやろ…
けどおまえが、こんな顔して言うんやったら嘘やないんやな」
しばらく沈黙したあと、大毅は低く笑った。
「……おい、なんなんそれ。
俺、昨日ちゅーされた夢見た思たら、今度は殺される夢の続きやんけめっちゃホラーやん、これ」
「笑い事じゃないって……!」
「わかっとるわ」
大毅の目が、いつになく真剣になった。
「ほんまにそうやったんやとしたら……次、来るんやな。週末に」
祐也は頷いた。
「……どないする?」
「……わかんない。でも……俺、見過ごせない。
おまえが殺されるかもしれないとか、そんなの――絶対いやだ」
大毅は祐也の肩を軽く叩いた。
「ありがとな、祐也。……おまえが言ってくれて、助かったわ」
祐也は黙ってうなずいた。
だが、心の奥ではまだ、澪の“あの目”が焼きついて離れなかった。
誰にも聞かれたくなかった。言葉にするのが、怖かったからだ。
屋上の風は少し冷たくて、二人の間に流れる空気も、どこか重かった。
「なあ、大毅」
「ん? なんや、改まって。おまえ、珍しいな」
祐也はしばらく黙ったまま、大毅の顔を見つめた。
そして、ゆっくりと、昨日見たことを口にした。
「俺……昨日、零のあとをつけたんだ。おまえに笑われたあと……気になって」
大毅は目を丸くする。
「はぁ!? おまえ、マジでストーカーみたいなことすんなよ気持ち悪っ!」
「笑ってる場合じゃないんだよ」
祐也の声が震える。
言葉が喉で詰まって、それでも何とか絞り出すように言った。
「廃屋に入っていった。誰かと話してた。黒い服を着た男……。
それで……聞いたんだ。……おまえを、“殺す”って話してた」
一瞬で、大毅の表情が凍りついた。
「……は?何言ってんの?」
「“佐藤大毅はもういらない”って。次は週末、おまえの家にいる時を狙うって。
前に俺が邪魔したせいで失敗したって、そう言ってた……。
あいつ、ほんとに……澪、本気で――おまえを殺そうとしてる」
風が吹いた。
その音だけがしばらく二人の間に鳴っていた。
「……おまえ、それ……」
大毅が絞り出すように言った。
「マジの話か?」
「……ああ」
祐也は真剣な目で頷いた。
大毅は眉をひそめて、ぽりぽりと頭をかいた。
「……ほんまに、信じられへんありえへんやろ…
けどおまえが、こんな顔して言うんやったら嘘やないんやな」
しばらく沈黙したあと、大毅は低く笑った。
「……おい、なんなんそれ。
俺、昨日ちゅーされた夢見た思たら、今度は殺される夢の続きやんけめっちゃホラーやん、これ」
「笑い事じゃないって……!」
「わかっとるわ」
大毅の目が、いつになく真剣になった。
「ほんまにそうやったんやとしたら……次、来るんやな。週末に」
祐也は頷いた。
「……どないする?」
「……わかんない。でも……俺、見過ごせない。
おまえが殺されるかもしれないとか、そんなの――絶対いやだ」
大毅は祐也の肩を軽く叩いた。
「ありがとな、祐也。……おまえが言ってくれて、助かったわ」
祐也は黙ってうなずいた。
だが、心の奥ではまだ、澪の“あの目”が焼きついて離れなかった。