王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

引いてダメなら押してみろ作戦4

「すごく美味しいよ」

「美姫があーんしてくれるなんて思ってなかったから、すごく嬉しくてビックリしちゃった」



と、微笑みながら言ってくれた。



でも内心引いてるかもしれないよね、

二口目いこうとしないし…



「またあーんしてくれないの?」と耳元で囁かれた。



「ふ、二口目からはご自身で」



「そっか、残念」



碧人様はいたずらな笑顔で、自分でお弁当を食べ始めた。



碧人様は大食いのイメージがなかったが、

想像以上に食べている。



「あ、あの無理しなくても平気ですよ。

サンドイッチもあると思いますし…」



「それは雪に食べてもらうからいいよ。

お願いだから、美姫の作ったご飯食べさせて」

と言われた。



ー碧人様はやさしすぎる。



そもそも王族の方は、

毒を盛られることに備えて、

耐性をつけるために、幼少期から毒を少量口に入れるようにしてると聞いたことがある…



多少下手な料理くらいでは引かないのかもしれない。



ーどうすれば碧人様を引かせられるんだろう?、と考えたとき、

あることが思い浮かんだ。



あれをすれば絶対引くけど、

もう1回引かれたら今度こそ泣いちゃうかもしれない。



でも、もうこれしかない!と思い、

私は碧人様に「失礼します!」と言って抱きついた。
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