王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

引いてダメなら押してみろ作戦5

碧人様の体がビクッとなった。

何もしゃべらないー。



私は碧人様がどんな表情をしているか確認したくて、

顔を上げようとしたが、優しく頭に手をおかれ、

確認することができなかった。



「自分のことを好きな異性に抱き着く意味わかっている?」



「え、えっと…」

ー何て答えればいいかわからず、

とりあえず離れようとしたが、強く抱きしめ返された。



「今はわからなくてもいいよ。

…でも、他の異性に抱き着いちゃ絶対にダメだからね」



碧人様を見上げると、

真剣な顔でこっちを見つめていて、



「俺こんな気持ちになったの初めてだから、自分でもどうするのかわからないんだ。

お願いだから、嫉妬させないでね。」



と囁かれた。



私は顔を真っ赤にしながら、

「は、はひ」というとぼけたような返事しかできなかった。
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