王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

告白3

ー私の気のせいじゃなければ、碧人様の顔が赤く見える。



碧人様はよろけそうになりながら立ち上がり、

「ご、ごめん。思っていたような話じゃなくてビックリしちゃって」



碧人様は手で顔を隠すようにして、

こっちに歩きながら、



「ごめん、美姫が俺のこと好きなの気付かなかったんだけど、いつから好きでいてくれたの?」



「初めてあったときから…、

10歳のときから、お慕いしていました。」



「ほ、本当?全然わからなかった。

伊集院のことはどう思っているの?」



「えっと、
前も翔と結婚みたいな話が出ていてビックリしたのですが、ただの幼なじみです。

同い年ですが兄のような存在です。

碧人様のことも、よく相談していました。」



「そ、そうだったんだ…。」



ー気付いたら碧人様が正面に立っていた。



いつもの余裕のある微笑みとは違い、

少し恥ずかしそうにしていて、

私の顔を見たと思えば違うところを見て、

挙動不審になっていた。



ーこんな碧人様初めて見た…



「前に『俺は美姫が好き』って言ったのに、

さっき『俺が他に好きな人がいたり、美姫が好きじゃなくても…』っていったのはなんで?」



「実は雪様と『私のことが好きな訳じゃない。王族なんて恋できない』と言っているのを聞いてしまって…、

その後に好きと言ってもらえたので、

気を遣って頂いているのだと思いまして…」



「そっか、あれを聞いていたんだね」

ー碧人様が渋い顔をしている。



「その時、さつき様を見つめていたので、

碧人様はさつき様のことが好きなんだと思ったんです。それで協力しようと思ったんですが…

ただやっぱり碧人様の近くにいたいと思って…」



ーこうして話していると、

今でも私本意で良いのかな…?と思ってしまう。



ーでも、やっぱり…

「今でも私が隣にいていいのかな、という気持ちもあります。
でも、碧人様を私が…し、幸せにしたいです」



と、さっきの告白と同じくらいの声のボリュームで叫んだ。
< 40 / 49 >

この作品をシェア

pagetop