アラサーの私が、なぜか御曹司で超絶イケメンの年下男子から、溺愛されました
【後日談】愛娘の栞
吉田のお義父様は、忙しい中わざわざ病院まで来てくれた。初孫の栞に会うために。
「会長、そろそろ行きませんと……」
「もう少しいいだろ?」
「会議が始まってしまいます」
お義父様は名残惜しそうなご様子で、新生児室の栞から私に視線を移した。
「葉子さん、ご実家でゆっくり静養してくださいね」
「はい。今日はお忙しい中、ありがとうございました」
お義父様はみんなに会釈し、帰って行った。
「はあ、亮平君には悪いが、あの方がいるとどうしても緊張するよ。なにせ、うちの銀行の一番のお得意様だからね。まさか親戚になるとはなあ。今でも信じられないよ。おっと、私もそろそろ戻らないといかんな」
と言って、父も帰って行った。
「葉子、よく頑張ったな?」
「私はね」
「それって、どういう意味だよ?」
「みんなの前で言っていいの? 亮が逃亡した事」
「ちょ、それはやめてくれよ、葉子さん」
何が”葉子さん”よ。
亮は立ち合い出産を申し出てくれた。その準備をし、私の陣痛が始まってからは、私の側で手を握り、励ましてくれた。そこまでは良かった。有り難かった。ところが……
いざ分娩となった時、亮は分娩室から逃げ出したんだ。信じられない。そんなの、聞いた事ない、と思う。
後で亮を責めたら、亮は元々血を見るのが苦手で、分娩の時、失神しそうになったらしい。そうなったら迷惑だから、という事らしい。
それなら仕方ないかな、とも思うけど、逃げた事に変わりはないと思う。一生言ってやるんだから!
「会長、そろそろ行きませんと……」
「もう少しいいだろ?」
「会議が始まってしまいます」
お義父様は名残惜しそうなご様子で、新生児室の栞から私に視線を移した。
「葉子さん、ご実家でゆっくり静養してくださいね」
「はい。今日はお忙しい中、ありがとうございました」
お義父様はみんなに会釈し、帰って行った。
「はあ、亮平君には悪いが、あの方がいるとどうしても緊張するよ。なにせ、うちの銀行の一番のお得意様だからね。まさか親戚になるとはなあ。今でも信じられないよ。おっと、私もそろそろ戻らないといかんな」
と言って、父も帰って行った。
「葉子、よく頑張ったな?」
「私はね」
「それって、どういう意味だよ?」
「みんなの前で言っていいの? 亮が逃亡した事」
「ちょ、それはやめてくれよ、葉子さん」
何が”葉子さん”よ。
亮は立ち合い出産を申し出てくれた。その準備をし、私の陣痛が始まってからは、私の側で手を握り、励ましてくれた。そこまでは良かった。有り難かった。ところが……
いざ分娩となった時、亮は分娩室から逃げ出したんだ。信じられない。そんなの、聞いた事ない、と思う。
後で亮を責めたら、亮は元々血を見るのが苦手で、分娩の時、失神しそうになったらしい。そうなったら迷惑だから、という事らしい。
それなら仕方ないかな、とも思うけど、逃げた事に変わりはないと思う。一生言ってやるんだから!